mainichiamatouのブログ

超長かったり、超短かったり。

『Left & Right』 SEVENTEEN 歌詞 和訳

 

youtu.be

 

 

Left and right
Left and right
Left and right

Seventeen ha

잊지 말아야 해 출발선에 설 때

忘れちゃいけないスタートラインに立つ時


두 눈 부릅뜨고 고갤 들어

両目見開いて顔上げて


Come on!

무릎 꿇고서 추진력을 얻고 나면

膝をついて推進力を蓄えたら


제일 먼저 Baby 앞서갈래

まず最初に君の前に行くよ


Come on!

친구들 불러 I’ma celebrate

仲間たちを呼んで主役は俺

 

아무도 못 말려 We party today

誰にも止められない今日はパーティだから


클라이맥스 달려 꼬리를 휘날려 또

クライマックス駆けまた尻尾を翻らせる


알잖아 버펄로

わかるだろバッファロー

레드 카펫 위를 뛰어

レッドカーペットの上を走る


내일은 잘 나갈 거야 더

明日はもっとうまくいくさ


하물며 대기권을

ましてや大気圏へ


뚫어 뚫어 뚫어 뚫어

突き抜け 進め

웃어봐 더 하하하하

もっと笑ってみなよ ハハハハハ


스무 번 더 하하하하 이것은

あと20回ハハハハこれは


결승선을 넘을 때 세리머니

勝戦をくぐりぬける時のセレモニー


시원하게 Yeh it goes like

すがすがしく そうまるで


Left and right
Left and right
Left and right
Rip it Rip it

Left and right
Left and right
Left and right
Rip it Rip it

기분 좋을 때 걱정 없이

気分いい時 心配無用


더 더 확실하게 Follow me

もっともっとしっかり ついてきて


Yeh it goes like

そうさまるで

Left and right
Left and right
Left and right
Rip it Rip it

I run up I run up

駆けていく


I run up I run up

駆けていく


그 누구의 말도 안 들어

誰の声も聞こえない


딴말을 떠들어 떠들어

勝手なことをガヤガヤ


어쩌고저쩌고 시끄러워 쉿 해

あじゃねえこうじゃねえってうるせえよ シーってしてな

우리에게 필요한 건

俺らに必要なのは


달콤한 내일이잖아

甘い明日じゃないか


헹가래 하늘 향해

空に向かって胴上げだ


위로 위로 위로 위로

上へ上へどんどん高く

달리고 달리고 달려봐도

走って走って走ってみても


도대체 언제 앞지르냐고

一体いつになったら追い抜くのかって?


달리는 것만으로도 충분하다고 Yeh

走ってるだけでも十分なんだよ



그럼 뭐 어쩌라고

それでどうしろって言うんだよ


안 뛰는 것도 방법이라고

走らないのも方法だってさ


아무렴 어때 Yeh yeh

どうでもいいよ


웃어봐 더 하하하하

もっと笑ってみなよ ハハハハ


스무 번 더 하하하하 이것은

もう20回 ハハハハ これは


결승선을 넘을 때 세리머니

勝戦をくぐりぬける時のセレモニー


시원하게 Yeh it goes like

すがすがしく そうまるで

Left and right
Left and right
Left and right
Rip it Rip it

Left and right
Left and right
Left and right
Rip it Rip it

기분 좋을 때 걱정 없이

気分いい時 心配無用


더 더 확실하게 Follow me

もっともっとしっかりついてきて


Yeh it goes like

そうさまるで

Left and right
Left and right
Left and right
Rip it Rip it

혼자가 아니라

一人じゃないよ


우리 우리라서

僕たちは僕たちなんだから


겁낼 필요 없어 Yeh

怖気づく必要ない

혼자가 아니라

一人じゃないよ


우리 우리라서

僕たちは僕たちなんだから


또 걱정 없이 달리지 Yeh
そう心配しないで走るのさ

 

So uh


열정의 세리머니

情熱のセレモ二ー


넷을 세고 Go 해

四つ数えたらGoだ


하나 둘 셋 넷

1,2,3,4

Left and right
Left and right
Left and right
Rip it Rip it

Left and right
Left and right
Left and right
Rip it Rip it

같이 가보자 걱정 없이

一緒に行ってみよう 心配無用さ


더 더 확실하게 Follow me

もっともっとしっかりついてきて


Yeh it goes like

そうまるで

Left and right
Left and right
Left and right
Rip it Rip it

하나 둘 셋 넷 둘 둘 셋 넷

1,2,3,4 2,2,3、4


셋 둘 셋 넷 넷 둘 셋 넷

3,2,3,4,4,2,3,4

 

 

(盗用禁止)

 

 

夏らしい歌~

訳したい!と掻き立てられた。

 

セブチは葯一年間全力で追って満足したので清く降りたのですが、やっぱりまた推したくなりますね(笑)ビッグヒット傘下に入ったことでプレディスの悪いところがなくなればいいんだけど…メンバーはみんな良い子たちなんだし、ほんと頑張ってほしい。

BTS 花様年華 The Notes 2『Map of the Soul : 7』より 和訳

ソクジン

2022年4月11日

 再び注ぐ日差しの中で目を開いた。瞼の向こうには未だコンテナに立っていた火柱と、死んでいくナムジュンの姿が残っていた。今回も失敗だった。腕をあげて目を覆って考えた。ナムジュンを助けるにはどんな方法が残っているんだろうか。9月30日の様子をゆっくりと振り返った。特段感想は出てこなかった。少し経てば怖くもなくなった。

 初めてコンテナ村の事故が起きてから、数えきれないほどループした。だけど僕は未だに何故ループが起き続けているのか、どうすれば解決できるのかも突き止められていなかった。いや、それよりこの全てのことを終わらせる手がかりだという「魂の地図」が何なのかも探し出せていなかった。魂の地図。その言葉を聞いたのは、何回も失敗を繰り返した後だった。魂の地図を探せ。この全てのことを終わらせることができるだろう。魂の地図?それは何だ?急き立て尋ねたが、返事は返ってこなかった。代わりにこんな言葉が残された。ヒントに対する代価が伴うだろう。

 向こうにナムジュンのガソリンスタンが目に入ってきた。ゆっくりウィンカーを点けて、車線を変更した。一つだけ考えた。9月30日の事故を止めてループを終わらせる。ただ目標だけに向かって進んでいくんだ。その過程で問題ができたとしても、誰かが傷ついたり疎外されたとしても、しかたのないことだ。そんなことにこだわって途方に暮れていては目標を遂げられない。全てを救うことよりもっと重要なことは、僕だって生き抜くこと。それが数えきれないほど繰り返すループが僕に与えた教訓だった。

 

2022年9月3日

 ふいに、床に置いてある写真の中の場面が動いているかのように見えた。ホソクとジミンの笑い声が聞こえるかと思えば、ジョングクが振り返って僕を見つめた。次の瞬間ユンギのピアノの音が流れた。ナムジュンとテヒョンが笑いながら浜辺を走った。その全ての瞬間たちが、写真から打ちあがった映像のように宙に浮かび上がった。音楽が流れ、笑みが綻んで、日光が立ち込めた。瞬間と瞬間が重なり合って、映像と映像が矢継ぎ早になりながら、何かわからないものが心の中で解き放たれているようだった。それは血管に乗って体の隅々に広がっていった。頭の中をぎゅっと塞いでいた何かが壊れながら、爆竹が割れるように記憶たちが溢れ出てきた。一度放たれた記憶は、精神を取り戻せないほど渦巻いた。部屋全体が記憶たちで光りだした。悲しくて、恋しくて、苦しくて、楽しかった記憶たちが渦巻きだした。それを見ていると信じられない気持ちになった。僕がどうやってこの全ての瞬間を忘れることが出来るだろうか、そして発見した。僕のポケットの中で何かが光を放っていた。

 

 

ユンギ

2022年6月13日

 ジョングクの言葉が思い浮かんだ。ヒョンの音楽が好きだからです。ヒョンのピアノ聞くと涙が出るんです。僕が。一日に何度も死にたくなってたんですよ。それでもヒョンのピアノを聞けば生きたくなります。だからそうなんです。そうだからそうなんですよ。僕の言葉はそうだから、ヒョンの音楽が本当に、僕の心と同じです。酒に酔って床に伸びたまま、繰り返し言っていたジョングクの表情が浮かんだ。

 

2022年9月2日

 ジンヒョンに音楽ファイルを送って座席に横になった。倉庫教室から持ってきた楽譜を漁っている最中、余白に書いてある文字が見えた。一緒なら笑っていられる。自分の字ではなかった。いつかの日が思い浮かんだ。霧が立ち込めた日だった。いつの間にかジンヒョンと二人で運動場を横切ることになった。お互い気まずかった。俺はポケットに手を突っ込んで、わざとゆっくり歩いた。先に行ってくれと願ったけどジンヒョンはそうしなかった。代わりに中途半端な会話を試みては、その度にますます不自然になった。自分でも知らないうちに聞いた。ヒョンは最後に心から笑ったのはいつですか?ヒョンは答えなかった。俺もそれ以上は聞かなかった。

 一緒なら笑っていられる。この分はもしかすると俺の質問に対する答えなのかもしれない。ヒョンが書いたという確信は無かった。そんなものは必要なかった。楽譜に記された旋律は幼稚なばかりだった。せいぜい二年前なのに、あの時の音楽は未熟で乱暴だった。滑らかに繋がっていないし美しくも無かった。高校時代を思い返せば、酒に酔ってふらつきながら歩き回っていたことしか浮かばないが、必ずしもそんな日ばかりだったわけじゃない気がする。一晩中あの頃の音楽に手を加えることにした。こんな名をつけた。一緒なら笑っていられる。

 

 

ナムジュン

2022年9月25日

 僕はそのままコンテナの床へ仰向けになった。鉄製のコンテナの中はもう熱気で目を開けられないほどだった。顔をひどく歪めたまま周囲を見回した。ラーメンを買ってくるから待っていてと出て行ったのが10分前だった。バチンという音がして、振り返るとウチャンが中でうずくまっていた。毛布を生水で濡らしてウチャンの体にかけた。扉の外を指して言った。そこに走らなきゃ。ウチャンヤ。出来るか?扉の外には真っ赤な火柱が立っていた。ウチャンの手をぎゅっと握りしめた。三つ数えたら走るんだぞ。いち、に… 瞬間何かが扉の前に倒れた。コンテナの横に置いてあった資材の山が炎の中に倒れたようだった。土ぼこりの中で火花が散った。ウチャンと僕は驚き立ちすくんだ。瞬く間に出口が塞がってしまったのだ。

 

2015年5月21日

 ひっそりと玄関に立ち入った。取っ手をぎゅっと握って気を付けながら回すと、様子を伺った。何も聞こえなかった。首を突き出して見回したけど、家が真っ暗だった。一歩分中へ立ち入った。母さん。呼んでも誰も返事をしなかった。明かりを点けてからもう一度周りを見回した。九時過ぎの時刻。家に誰もいないはずがなかった。母さん。また呼んでみたけど、静寂だけがあった。

 普段より遅く帰宅することにした。もともとは学校が終わり次第母さんを手伝わなければと思ったが、一回でもいいから友達たちと遊んでみたかった。だから連絡もせず遅く帰った。それなのに家に誰もいなかった。変に冷やかな気分になって手のひらを腕で覆い、暗いリビングにただ立っていた。

 そしたら急に電話のベルが鳴った。寒気が滲んだ。あそこで電話が鳴っているのに、なぜかとってはいけないような、おかしな気分になった。電話に出れば全てが変わってしまうような、二度と今の自分には戻ってこれないような不吉な気分。だけど電話はずっと鳴っていて、僕は結局電話の前まで歩いていった。それから受話器を取った。

 

 

ホソク

2022年7月24日

 ジンヒョン、ヒョンのお父さんに一言でも言えないんですか?ヒョンは知ってるじゃないですか。そこが僕にとってどんな意味があるのか。養護施設は僕にとって家です。それからそこで暮らしている子たちは施設がなくなったら、バラバラにならなきゃいけないんです。再開発なんてあの施設を抜いたって出来るじゃないですか。コンテナに入るなり、前後の脈略も無しに喚き散らした。みんな驚いた眼で僕を見つめた。ジンヒョン、誰一人として表情を変えなかった。僕がもう今にも泣き出しそうに言葉を継いでのに、ジンヒョンはなんてことないような顔で僕を見つめた。

 もう既に決まってたことなんだ。僕が出来ることは無い。ヒョンの一言一言がものすごくゆっくりと耳に入ってきた。その一言一言が、ヒョンと僕の間にどれだけハッキリと線が引かれているのかを示してくれた。ヒョンは決定する世界の中にいて、僕は決定に抗議すら出来ない世界の中にいた。僕はジンヒョンが友達だと思っていたけど、もしかしたら本当の世界ではヒョンと僕の友人関係は成立しない事なのかもしれないという考えが浮かんだ。

 僕はヒョンにもう少し怒った。ヒョンがどうやってこんなこと出来るんだよ、と声を張り上げて、ついて来てくれと哀願したりもした。だけどそんな時でもわかっていた。そんなのはただやってるだけ意味がないと。僕が出来ることは何も無かった。それにそれはヒョンへの言葉でも、ヒョンへの怒りでもなくて、自分に対するものだった。何も出来きない、何者でもない存在の自分へ。

 

2009年8月月30日

 目を擦って起きた。ヒョンたちが静かについて来いというジェスチャーをして見えた。実は僕はもう少し寝ていたかったけど、ただヒョンたちだけについて行った。こそこそと部屋を抜け出して廊下を通った。辺りは真っ暗だった。何時なのか考えたけど、就寝時間がとっくに過ぎていること以外は見当もつかなかった。階段を上がって屋上に続く鉄の扉を開けた。キイッ。音にヒョンたちが驚いて立ち止まり、僕もそうした。周囲を見回した。

 屋上にわちゃわちゃと集まって座った。僕たちなんでここに上がってきたんですか?僕の質問に大きいヒョンが言った。ちょっと待ってろ、チョン・ホソク。その瞬間だった。パァンという音がするなり、北の空が明るくなった。僕はびっくりして目を瞑りながら身を縮こませた。何かが燃えている匂いがする気もした。うわぁ。誰かが大声をあげて、大きいヒョンが静かにしろとたしなめた。僕はそっと細目を開けて北の空を見上げた。もう一度パァンという音がすると、夜空に星たちが現れた。星じゃなくて花火だ。ヒョンが教えてくれた。

 花火は絶え間なく咲いた。僕は屋上の床に仰向けになって、空で破裂する星たちを、火を、花を見上げた。チョン・ホソクが泣いた、泣いてる。ヒョンたちがからかっている声が聞こえた。えい。僕は袖で目じりを拭った。余計にもっと涙が出た。

 

 

ジミン

2022年7月18日

  僕はコンビニの近所をぶらつきながら時間をつぶした。ソンジュ第一中学校の後ろ側。こっち側の塀を越えて、こっそり抜け出したりもしたし、コンビの向こう側の小さい公園でヒョンたちを待ったりもした。辺りを見回した。久しぶりに訪れたこの小さな町は全然変わってなかった。ユンギヒョンとジョングクの家がこの近所だと言っていたのを思い出した。周辺をきょろきょろしたけど、右側の通りの中にグラフティーのようなものが見えた。テヒョンが描いたものみたいだった。そっちの方へ歩みを進めた。

 絵の前で自分でも気づかないうちに立ち止まっていた。荒く黒い線で殴るように描いてあるそれは、温もりも無い誰かの顔だった。誰かと言ったけど、僕は知っていた。その顔の持ち主を。ソクジニヒョンだった。ヒョンを思浮かべた瞬間、また違う人の顔が重なった。比べてみれば全く似ていない顔だった。それなのにその二人の顔が瓜二つに見えた。二人は同じ目をしていた。生気のない目。その時ようやくわかった。僕が誰を訪ねていくべきなのか。

 

 

2022年8月12日

 震えている幼い僕を抱き寄せた。湿った体と早くなっている鼓動が感じられた。僕はたどたどしく言った。ちょっとだけ待ってて。君がもっと成長すれば、いい友達に出会うはず。友達たちと一緒に過ごしながら、君はもっといい人になるんだ。それくらいの時にはもう大丈夫になってるだろう。だからもう少し、もう少しだけ頑張るんだ。僕は言い終えると僕をよりぎゅっと抱きしめた。我慢できずそのまま泣いた。

 どれくらい時間が過ぎただろうか。目を開けると幼い僕は消えていなくなっていた。そこから起きて目じりを擦ると空を見上げた。真昼の空は雲一つなく晴れて、周囲は静かだった。向こうに草花樹木園の出口が見えた。雨が降った形跡はどこにもなかった。

 

 

テヒョン

2022年7月23日

 僕たちは教室の真ん中に出て立った。携帯のフラッシュライトの下、古ぼけた椅子ところころと巻かれたイベントプラカードが現れた。誰も出入りしてない教室はより一層古びていた。辺りを見回した。ここで何があったんだろう。ジミンは向こうの壁の前で小さくうずくまっていて、ユンギヒョンはピアノの椅子に腰掛けていた。ナムジュニヒョンが手のひらで窓に何かを書いた。

 高校の時みたいだな。夜中に学校でこんなことして。しばらく時間が流れた後ナムジュニヒョンが言った。高校なんて、俺はもうごめんだ。ユンギヒョンがフッと笑いながら言った。世界はどうしてこの形なんだろう。この世界、僕たちが作ったわけじゃないじゃないですか。生まれてみたらこの形だったじゃん。なのにどうしてこんな世界で、何の方法もなしに、投げ込まれて生きなきゃいけないんですか。ナムジュニヒョンが言った。

 お。ちょっとここ見て。その時ジミンが体を起こしながら言った。ここにソクジニヒョンのお父さんの名前がある。ジミンが指さすところに近寄った。壁にぎっしり記された落書きの中に、何人かの名前があった。みんなのフラッシュライトがその名前を照らした。ジミンが他の名前の一つを指しながら言った。精神病院のおじさんだ。他の名前は知らないけど。ユンギヒョンがまた違う名前を指した。チェ・ギュホ。失踪した人だよな?それらの名前の下に書いてある文はナムジュニヒョンが読んだ。全てはここから始まった。

 

 

2022年7月24日

  どれくらいそこに座っていたんだろう。三階の廊下に誰かが歩いてくるのが見えた。距離がかなりあったから顔は見えなかったが、痩せ型の中年女性のようだった。女性は廊下の手すりに両腕をかけると、遊び場の方を見下ろした。それから煙草に火を点けた。ライターの火がきらっと光って消えた。青い夜明けの空気の中で煙草の煙が広がった。

 僕は微動だにせずその姿を見上げていた。陽が出てきているのか周囲がほのかに白く明るくなってきた。女性は相変わらず腕を手すりにかけて外を見下ろす姿勢そのままで、一本の煙草を全部燃やしたのでもう一本取りだして加えた。

 あの人も僕を見ているだろうかと考えた。遠いから顔は見えないだろうけど、この夜明けにどんな人が遊び場のブランコに座っているのかを見て、何を思うのだろうか。ブランコがきしまないように両手両足に力を入れて支えた。煙草の火がしずまったり大きくなったりを繰り返した。陽が上っていた。明るく昇る光を受けながら、女性は最後の煙草を燃やした。それから背を向けて中の方へ消えていった。僕は廊下の左側から扉を一つずつ呼び止めてみた。304,305,306。そしたらあの扉は母さんの部屋だった。

 

 

ジョングク

2022年6月13日

 夢を見た。宙に浮いたままの病室を見下ろしているのに、病室のベッドの上にもう一人の僕が横たわっていた。ベッドの僕は眠っているようだった。何の夢を見ているのか、瞑った目の中で瞳が発作的に動いていて、するとなんの前触れもなく目をハッと開いた。その瞬間目が覚めた。

 次の瞬間、僕はベッドに横たわっていた。事故が起きた夜の夢を見た。ヘッドライトは月になって、突然黄緑色と青色の玉のような光に変わった。そして目を開けても向こうの宙にまた僕がいた。宙にいる僕と目が合った。二つの視線が交差して二つの意識が逆転した。僕は宙に浮く僕だったりベッドに横たわる僕になったりを繰り返した。逆転と交差の速度はだんだん早くなった。めまいがして嘔吐した。

 そうしているとあっという声がして目が覚めた。シーツが汗でじっとりとしていた。息が苦しくて吐いた。ふいにその時まで忘れていたことを思い出した。誰かの声。生きるのは死ぬより苦痛だろうに。大丈夫?母さんが医者を呼んで傷を確認した。医者は僕が早く回復しているから心配ないと言った。打撲と骨折を負ったけど、出血はほとんどなかった。交通事故にしては運がいいと言った。僕は医者を見て聞いた。ところで僕を轢いた人は誰ですか?

 

2022年9月3日

 なんで死んでないんだよ?誰かが焦って怒鳴った声に、僕は物思いから抜け出した。スクリーンにはシューティングゲームが繰り広げられていた。ヘッドフォンからチームの人が敵が現れたと声を張り上げた。僕はすぐにマウスを握った。狂ったように銃を撃った。打たれた相手は空気が抜けたようにバタバタと倒れていった。マウスを動かしてマップを見返した。鉄道がマップの中央に通っていた。鉄道の横に大きなコンテナがぽつりぽつりと置いてあった。まるでソンジュ駅とコンテナ村を見ているようだった。

 武器を変えて入った。連射できるマシンガンだった。向こうに黒い頭巾を被った敵が現れた。銃を構えたけど、瞬間知っている人のような気がした。敵軍は一度で倒れていった。続けて敵たちに向かって何も考えず銃を撃った。自分でも知らないうちにヒョンたちを思い出していた。くすりと笑いがこぼれた。それもを見てヒョンたちは似ていると思った。一人ひとり制圧して出て行った。コンテナから出てきた敵たちを見るなり打ってしまった。地面に倒れた敵をしばらく見下ろした。ナムジュニヒョンかと思ったけど、誰かが使った銃を肩に合わせた。マウスで視線を動かすと銃を持っている敵が見えた。ソクジニヒョンだった。瞬く間に敵意が沸き上がった。

宇多田ヒカルの音楽に酔う

ヒッキーの歌詞が好きだ。
一人称が「わたし」だけじゃなくて、「ぼく」と言うところ。
「~だよ」と語りかけられたと思ったら「~です」と敬語になったり。
邦楽はロックやアイドルと人並みに色々ハマってきたけど、歌詞が常に芸術的だと感じるのはヒッキーだけだなぁ。いつ聴いても何年経ってもピリッとする感じ。
「今日は日清カップヌードル」とか「ビートたけしが~」とか出てくるけど、そういう日常も彼女の生む音と声と相まって昇華されている。

 

Netflixにある「Laughter in the Dark」を見ているうちにそんなことを考えていました。

 

ヒッキーは私の女神様!

 

BTS 花様年華 The Notes 2『Map of the Soul Persona』より 和訳

 

ソクジン

2022年6月4日

 父の書斎へ入ると、目につく絵がひとつある。茫々とし、跳ね上がる大波の上に危うげな筏(いかだ)。飲むものも食べるものも無く、羅針盤も希望も無く捨てられた人々。渇きと空腹、恐れ、恐怖と欲望に、鳥の血を吸い、鳥を殺し、そうすることで自身も殺していく人々。

 この頃、僕はこの絵が怖くて書斎には入れなかった。父はどうしてこんな惨い絵を掛けておくのか考えたこともあった。しかし時が経つにつれ次第に絵を書斎の一部と認識するようになり、恐ろしさの対象にも悩みのにも対象もならなくなった。

 代わりに違う恐れが生まれた。それは父の書斎の奥にできた扉の向こうの部屋だった。扉や部屋の間取りはとくに違わなかった。錠前やドアロックで閉まっているわけでもなく、その向こうも書斎の延長に過ぎなかった。あえて特別な点を探せば、本がとても多いことくらいで、父が高校生の頃から収集した資料と本が本棚に沢山並んでいた。その部屋は「奥の部屋」と呼ばれた。

 奥の部屋は父が一人で考えを整理したり何かを構想する場所で、父以外は誰も立ち入らなかった。僕はたった一度だけ奥の部屋へ入ったことがあるが、幼くてもわかった。そこは単に本を置いておく書斎ではなかったのだ。特に順序もなく並んでいる本たち、 無造作に置いてある箱と書類は、一見してただ人間的だった。紙特有の温もりは感じられず、絵や写真のようなすらも何の気持ちもこもっていなかった。その部屋の真ん中にある本棚を見上げるだけでも、僕は体中が砕けるような怯み(ひるみ)を感じた。

 その部屋に入ったことを叱られた記憶は残っていないが、(もしかしたらそんなことがあったのかもしれない)、いつからか僕はその部屋へ入っていない。1、2回扉の前まで行ってみたことはある。しかし、ちょっと見上げて足を動かしただけで、取っ手を回すことは考えることもできなかった。

 

2022年5月30日

 与えられたヒントはひとつだけだった。魂の地図、それが何なのか、それで何をしなければいけないのか、見当すらつかない不慣れな語句。にもかかわらず、なんでも始まる地点が必要で、「魂の地図」がそこになるのだろうと期待した。しかし違ったのだ。数えきれないループを巡ってみて魂の地図を探索したが、何も得られなかった。振り返ってみれば、この全てのことが始まる時もそうだったのだ。全ての失敗と過ちを正して、みんなを救えると信じるか?この質問に首を縦に振る時、僕はどんなことを経験することになるのか、少しもわかっていなかった。

 本がぎっしり詰まっている、埃をかぶった本たちを後にして古本屋を出た。階段を昇って路地に出ると、桜の花が散っていた。ふと、ここに来たことがあるような気がして後ろを振り返った。地下に位置する書店の入り口は薄暗く、看板すらもよく見えなかった。違うのか。ほかの書店と混同しているのかもしれない。魂の地図へのヒントを探すために数多くの古本屋と図書館に通った。インターネットの書誌資料とキーワードを全てひっくりかしたことは言うまでもない。そんな中、もしかしたらこの書店にも立ち寄ったかもしれない。それともただ似ている書店ということもあり得る。

 路地の入口に停めた自動車に向かった。エンジンをかけて、ハンドルに手をかけたが、もうどこに行けばいいのかわからなかった。

 

 

ユンギ

2022年5月2日

 長く残る傷痕だという、時間をかけてゆっくり回復していこうと、それでも範囲が広くなく、治療さえ着実に受ければ今よりはずっと良くなるだろうといった。入院三日目、医者がガーゼを外すと火傷の跡が姿を現した。赤いどころか黒く変わった左腕の肌。自分の体なのに、自分の体じゃないみたいだった。馴染みがなかった。ライターを落とした瞬間は、これ以上のものを受け入れる準備ができていた。ところがわずかこの程度の傷跡をもってして、矛盾しているように感じた。

 少し痛みますよ。ドレッシングを始めると傷から血が吹き出した。白いガーゼを濡らす血はまるで火のようだった。あの日、俺を飲み込むようにうねり揺れていた真っ赤な炎。我慢しようとしたが、うめき声が自然と出た。医者は血が出るのは良いサインだと言った。死んだ肉の下の新しい肉があるという証拠だと。痛みの中でもから笑いが出た。新しいものはどうして死のあとに可能なのか。万が一あの時死んだらどうなっていんだろう。もしかしたら、それが全てのことを新しくに始める唯一の方法だったんだろうか。

 腕をを下ろしてみた。閉じたガーゼの上に血が滲み出た。俺はその血痕を火だと言い、医者は再生だと言った。誰の言葉が正しいのだろう。

 

2022年6月23日

 チャットルームの通知が来ているのを見つけてケータイを開いた。 いつの間にか窓の外が暗くなっていた。今までに書きなぐってきた音楽を全て集める作業は簡単じゃなかった。無作為に燃えてしまう過程から生き残ったものと、記憶の中の旋律たちを集めて分類した。その中で一番多いものは、驚くことに高校の時倉庫の教室で作ったものたちだった。振り返ってみても、その頃俺が楽曲作業を沢山していたということじゃないようだ。その時の俺は、いやいつの頃の俺であれど、俺はいつも音楽から逃げていた。

 チャットルームを開けるともうかなり多くの会話が進んでいた。チャットルームを作ったのは意外にもジミンだったが、俺を招待する前にも会話があったらしく話はふと始まった。テヒョンがみんなに聞いた。魂の地図って何か知ってますか?ホソクが応答したのはしばらく後だった。なにそれ?テヒョンが答えた。ヒョン、それを俺が聞いたんですよ?確かにその通りだ。でもそれを何で?そんな会話がしばらくあって、ジミンが一部始終を説明した。病院に行ってジンヒョンに偶然会ったが、魂の地図を探しているらしいとのことだった。

 ナムジュンが登場したのはしばらく後だった。前に俺もジンヒョンに魂の地図が何か知ってるか聞かれたことがあったんだけど、その時ヒョンがこう言ったんだよ。魂の地図が、この全てのことを終わらせる方法だって。そうしてしばらく会話は続かなかった。多分みんな考えこんでいるということだろう。ジンヒョンが「終わらせなければいけない」こととは何なのか。ヒョンがおかしくなっていることはみんなが考えていることだった。それなら魂の地図というものやらを探せば、ヒョンはよくなるのか。それは一体何で、どこで探すことができるんだろう。

 しばらくして続いた会話はこういうものだった。このチャットルームにジョングギは呼ばなかったの?ジミンが答えた。僕が考えてみたんですけど、ジョングギはまだ苦しんでるじゃないですか。ジミンは自信なさげに言葉を濁した。ふいにジミンがどうして病院に行ったのかという考えが浮かんだ。長い間閉じ込められていた病院を探しに行くのはどんな気持ちだろう。俺は閉じていたチャットルームをまた開き、こう書いた。そうか。良かったな。ジョングクはもう少し休ませよう。

 

 

ナムジュン

2022年6月15日

 急いでラーメンを食べる子供を見下ろした。8才、いや10歳ちょっとになったかな。冷めてもない麺を詰め込んでいる最中にも、時々首をすくめて僕の目を見た。名前を聞くと、ウチャンです、ソン・ウチャン。と答えた。その時、僕はシワがはっきりとしたTシャツにラーメンの汁が飛んで、指でこすろうとしたらおばあちゃんに怒られたとつぶやいた。

  ウチャンはを初めて見たのは2か月ほど前だった。ガソリンスタンドに帰ってきたけど、後ろ側のコンテナの前にウチャンが立っていた。その時はソンジュ駅から外に出る近道を探してここに差し掛かったのだろうと考えた。コンテナ村は幼い子供が住むようなところじゃない。ところが2週間ほど過ぎたあと、コンテナの前の空き地に古臭いサッカーボールを一人で蹴っている姿を見て、それ以降にも何度もウチャンと出会った。いつも夜遅くまでうろついて、同じTシャツと同じズボン、同じ運動靴を履いていた。こっそりと見ても、見守っている大人がいないのは明らかだった。だからと言って僕がしてあげられることはなかった。僕は自分の体一つ世話するだけで精一杯だった。僕はいつもウチャンを知らないふりして過ごした。

 今日、ガソリンスタンドの仕事を終わらせてコンテナ村へ帰ってきた時は夜11時を少し過ぎていた。鍵を探して袋をかき回したけど、ある程度離れたところに縮まって座っている影が目に入ってきた。ウチャンだった。いつもそうしていたように、気にしなければそれまでだった。でもその日はそうすることができなかった。そうしたくなかったんだ。

 空を見上げた。一日中天気は曇っていた。夜空にも灰色の雲が立ち込めていた。星の光みたいなものはひとつも見えなかった。ふいにお腹がすいた。僕の記憶が正しいなら、コンテナにはラーメンが一つしか残ってなかった。買い置きも無いし、これから揃える余力もなかった。それが僕の境遇だった。袋から取り出した鍵を見下ろした。田舎町を離れれば、見回った風景を思い出させた。バスの車窓に殴り書きした文句のことを考えた。

 僕はウチャンの方に向かって歩いて行った。

 

2022年6月12日

 田舎町は少しも変わらない姿でそこにあった。季節の変化を除いて、すべてのものが同じだった。僕は河岸の店の方を避けようとわざと町を大きく回って休憩所の町の方へ向かった。道は大体上り坂だった。日差しが暑くて汗が出た。スクーターが一台埃をたてて僕たちを越した。テヒョンが軽い咳をして何度かつぶやいた。少し先に、事故が起きた曲道が目に入ってきた。

 今はもう何の標識も残っていない道路わき。テヒョンはまるでそこに誰かが倒れているかのように膝を急いでかがめて座り、アスファルトの地面を見下ろした。この場所に向かうバスの中で、僕はテヒョンに何年か前の冬の日について話した。河岸の食堂での競争、どんよりした空からぽつぽつと落ちてきた雪片、傷ができていたテヒョンの顔、スクーターが滑りながら、体中鳥肌が立つような瞬間。テヒョンの事故と死。それからその出来事がどれだけ簡単に終わって忘れられてしまったのか。言えなかった話もあった。頼みがあると言ったテヒョンの表情と、ここ田舎町に住んでいたすべての瞬間、僕がそいつの名前をテヒョンだと思いだしたという事実。

 ヒョン。僕たち死ぬのはやめよう。振り返るとテヒョンが手のひらをアスファルトの地面に添えたまま僕を見上げていた。僕は何か答えようと言葉を探したけど、一言だって思いつかなかった。テヒョンの手のひらの下で、白線の底に横になっていたテヒョン、いや、田舎町のそいつの姿が見えるようだった。そんなふうに死んでいい人間はこの世にいない。一人の人間が死んだのに誰も責任を取らなかったし、心からの追悼もしなかった。僕もやっぱり同類だった。

 降りよう。僕の言葉にテヒョンが体を起こした。どこに行くんですか?テヒョンの質問へ答える代わりに、僕はこう言った。どのくらいか前に海に行った時、僕が頼みがあるって言っただろ?その話をするよ。それがなんだって、一緒に解決してやろう。

 

 

ホソク

2022年5月28日

 その海から帰った後、僕たちは連絡をあまりしなかった。特別な理由はなかった。ジンヒョンとテヒョンが口喧嘩をしたようで、帰り道でジョングクが他の道を行ってしまっけど、それが疎遠になった理由じゃなかった。それならば何が問題だったんだろう。だからといって僕が先に連絡をしようともしなかった。特別な理由があるわけじゃない。もしかしたらそれが理由なのかもしれないと思う。

 その日を振り返ってみれば、いつも急に吹いてきた砂風が思い浮かんだ。ジンヒョンが展望台に上って、テヒョンが後について行ったあと、僕たちはみんな手の甲で日差しを隠して展望台へ上ってみた。いつだかこんなことがあったような既視感のもと、変な不安が生まれた。ヒョン。僕たちが以前行った海のことなんですけど。願いを叶えてくれるという岩があった場所。そこがここと同じじゃないですか?ジミンの言葉に少し周囲を見回した。そして次の瞬間のようだった。テヒョンとジンヒョンが展望台の下で落ちそうにふらついていると思ったら、砂風が吹き始めた。両腕で顔を覆い隠して、目をすぐにつむった。展望台の上で何が起こっているのか怖気づいて焦燥感が沸いたけど、吹きつける砂風の中目を開ける勇気は出てこなかった。

 風が落ち着いて顔を上げると、ジンヒョンが展望台から降りてくるのが目に入ってきた。展望台の上のテヒョンが首を垂らしたままのその姿を見ていた。展望台を降りきったジンヒョンはそのまま自動車を出発させた。僕は一歩そっち側に向かって踏み出したけど、それ以上何もできなかった。

 その日の夜、僕たちもソンジュに帰ってきた。ジンヒョンが最初に帰ってしまって、僕達には夜を越す宿も、家へ帰る車便も無かった。帰ろうと先に行ったのはナムジュンだった。みんな失望した眼差しだったけど、無理やり歩みを進めた。僕たちはみんなナムジュンがどうにか計画通りに海の旅を続けようと話をしてくれるように願っていたのかもしれない。だけどナムジュンは家に帰ろうと言って、そうして僕たちの旅は終わったんだ。浮かれた気持ちで待っていた海の旅は、台無しになった。

 

2022年2月25日

 19回目の誕生日が過ぎながら、僕の世界はもう一度完全に変わった。これ以上保護児童ではなくなったし、孤児院で過ごすこともできなかった。保護終了児童へ支給されるわずかな自立金と、アルバイトをしながら集めたお金で家を探した。ツースターバーガー付近は考えもしなかった。ソンジュ駅の方に足を運んでみたけど、あまり大きな違いはなかった。結局坂道を登っていくしかなかった。突き当りの道の、一番奥側の屋上部屋だった。

 がたつくトランクを引いて、鉄製の階段を登った。12年過ごした孤児院を去るわけだったが、荷物はそう多くなかった。衣類と運動靴何足かを整理して、再利用センターで購入した小さな家具たちを配置したら終わりだった。

 それでも引っ越しは引っ越しなのか、腰を落ち着けたときにはもう夜だった。2月の天気でも背中に汗をかいていた。鉄製の扉を開けると、ぎいっという音と秋の終わりに吹く冷たい風が押し寄せてきた。外に出て手すりにもたれかかった。視線の先にソンジュを見下ろした。目分量で孤児院を探してみた。川に沿って左に行く途中で見えるクローバー模様の看板の左側。ネオンサインと灯りの中で、孤児院はよく見えなかった。

 僕は首をすくめて屋上部屋を眺めた。せいぜい一間の小さな部屋だ。夏は蒸し器のように熱くて、冬は扉の隙間から冷たい風が吹き込む戸締りが悪くてみすぼらしい部屋。だけど僕にとっては世界で唯一の場所だった。僕が僕らしくいられるところ。思いっきり笑えて、泣ける場所。頑張るぞ。僕は屋上部屋に向かって声を張り上げた。この街の一番のてっぺんで夜空と一番近く接したこの場所が、今日から僕の家だった。

 

 

ジミン

2022年7月24日

 コンテナ村に辿り着いたのは約束の時間の少し前だった。ジョングクの退院を祝う場だったけど、それだけじゃなかったん。ジンヒョンに言いたい話があったんだ。ヒョンにとって大事な話だと思ったけど、同時にヒョンが好きじゃなさそうな気がした。僕はコンテナに入っていく代わりに鉄道沿ってもう少し歩いた。列車が一台通っていったら風が激しく吹いた。プラットフォームが人々で溢れた後、またがらんと空っぽになった。その間に約束していた時間が過ぎてしまった。向き直って息を深く吸い込んだ。

 コンテナには誰もいなかった。夏の日差しに焼けるような熱い空気だけが、待っていたかのように押し出してくるばかりだった。約束の時間より10分遅れた僕が一番最初に到着した人間だった。他のみんなはどうしているんだろうか。急に何か事情ができたのか。来ることには来るのかな。扇風機を点けてコンテナの中を見回した。久しぶりにやって来たナムジュニヒョンのコンテナは、パーティっていう雰囲気は無くひっそりとして静かだった。机の引き出しから紙を探してボールペンで「ジ ョ ン グ ガ 退 院 お め で と う」と一文字一文字大きく書いてコンテナの壁に貼った。それだけじゃわびしい気分が収まらなかったけど、何もしないよりはマシだった。

 チャットルームを通してみんなが向かってきてることを確認しようとした間に18分がまた過ぎた。開けておいたドアの外で列車が過ぎ去るとコンテナに振動が伝った。ガタガタと震える世界を眺めながら、病院の扉を開けて飛び出した時のことを考えた。ヒョン達、テヒョン、ジョングクがいなかったら、僕はあの扉を開けて出てこれてたのかな。扉がそこにあって、その扉が開いているからってみんなが出てこれるわけじゃない。もしかしたらジンヒョンもそうやってどこかに閉じ込められているんじゃないか。扉を叩いてくれる誰かを待っているんじゃないのかな。確かなことは何一つ無かった。だけど僕たちが手探りで見つけ出した欠片(かけら)たちが、些細なヒントにでもなったなら。そこまで考えが及んだ時コンテナの扉がガラッと開いた。そしてユンギヒョンが入って来た。

 

2022年5月29日

 机の上に薄い光の筋が落ちた。塾の名前が書かれた窓をとうとう突き抜けて入ってきた光だった。講義室の前には講師がマイクを持って騒いでいたけど、僕の耳にはなかなか入ってこなかった。僕は塾の一番後ろの列の座席で頭をすっかり下げて座り、指の間を通りぬける光の筋をどうにかして掴んでみようと指をバタつかせていた。

 病院から出てきたからといって、何か解決したわけじゃなかった。むしろ原点から数歩後ずさりした気分だった。高校の卒業証も無しにどうするの、*バイパススクールでも通わなきゃダメよ、という母さんの言葉に押されて塾に向かったことだって、そんな理由からだった。返す言葉も無かった。今の僕には、やりたいことも、できることも無かったんだ。

 塾へ向かう内に心臓が締め付けられた。また勉強を始めることも負担だったけど、人々の間にいなきゃいけないことがなによりも怖かった。誰かが僕を調べたらどうしよう。どうして高校を卒業できなかったんだと聞かれでもしたら、なんて答えればいいんだろう。記憶の彼方に押し沈めていた学校での時間たちを恐ろしいほど思い出した。

 

*バイパススクール-大学入学試験を得るために学ぶ人のための教育機関

 

 

テヒョン

2022年4月11日

 黒色のスプレー缶で線を描きだした。痩せた顔、無くなりそうな口元、パサパサに乾いた髪。夢で見た顔が不格好な線で白い壁の上に姿を現し始めた。ついに瞳を描く番だった。僕は手を伸ばしてから止めて、一歩後ろに下がった。

 頭の中で顔は鮮明だった。瞳はやっぱり鳥肌が立つくらいはっきりしてた。なのにどうやって表現したらいいかわからなかったんだ。喜びや悲しみのような感情が全部揮発した、無関心と冷たさだけが残った瞳。それは数多い色であると同時にたった一つの塗りつぶされた色で、何も話さなくて、むしろもっと多くの話をするような目だった。僕は何回かスプレー缶で取り直してみたけど、結局瞳は描きだせなかった。

 ジンヒョンに最後に会ってから二年経った。アメリカから来た話は聞いたけど、それ以外には何も知ってることがなかった。ヒョンが夢に出てきたのも初めてだった。時々、どうしてるかなって考えたことはあった。僕たちの教室にいた日、ヒョンが校長と通話してた瞬間を思い出してみたりもした。ヒョンに対しては良い記憶も、理解できない事もあった。だけどそのどんな瞬間も、夢の中で現れたものみたいに冷たくて乾いた姿じゃなかった。

 壁に描き出した顔をまた見上げた。間違いなくジンヒョンだった。だけど僕が知っていたヒョンでは無かった。なんで急にそんな夢を見たんだろう。その夢は不吉で惨い場面の連続だった。ヒョンの顔はその全ての不幸を感情の無い顔で見つめてた。僕はスプレー缶を握った手を下ろした。夢で感じたその冷やかさがまた首根っこ掴んできた気分だった。遠くからパトカーのサイレンの音が聞こえてきた。

 

 2022年4月30日

 衝撃で少しの間動けなかった。向こうの自動車の中にジンヒョンが座っていた。ヒョンが帰ってきたことはナムジュニヒョンに聞いたけど、直接顔を見たのは初めてだった。ヒョンは携帯で何かを探してる顔をしかめた。それ自体は何も変じゃなかった。顔のどこかの部分が以前とすごく変わったわけでもなかった。僕が衝撃受けた理由を自分でもよく説明できなかった。冷たい。乾いてる。虚しい。そのどの言葉もヒョンの顔を表現することができなかった。春の日だったけど急に寒気が沁みた。僕も知らないうちに体を震わせた。ヒョンは僕がまさに夢で見たその顔をしてた。

 首を横に向けたのは、ジョングクが角を曲がって現れたせいだった。ジョングクは切羽詰まった顔できょろきょろしながら、路地を横切っ走って行ってしまった。その時ジンヒョンがいらだちの混ざった身振りで自動車の扉を開けて出てきた。遠くて正確に聞こえなかったけど、口の形を見るからに、面倒なことになったと呟いたみたいだった。ジンヒョンは少し離れたモーテルの方に近寄って、入り口に何かを落としたジョングクが走っていった方を一度見つめた。

 

 

ジョングク

2022年7月24日

  コンテナの壁面には「ジョングガ退院おめでとう」と書いてあったけどそんな雰囲気じゃなかった。わけのわからない緊張感で狭、いコンテナの中の空気は張り裂けるように膨らんだ。思い返してみれば最近はいつもそんな感じだったかもしれない。

 ジンヒョンが外に出てしまったのはあっという間だった。テヒョンイヒョンが急いでついて行って、他のヒョンたちも視線を交わせて後に続いた。テヒョンイヒョンが何か話しかけたけど、ジンヒョンは聞いてなさそうだった。僕はヒョンたちの後ろでジンヒョンが車に乗るのを見た。

 車が軽く後退して横に方向を変えた。コンテナから流れ出た灯りが車体をもつれさせた。バンパーにできていた事故の痕跡がちょっとだけ見えた。変だったのはそれを見ている気分が何ともないことだった。既に知っていた事を確認したにすぎないとしても、手で触れられる確固たる事実の前に立てば複雑な気分になったり衝撃を受けたりするはずなのに、現実はそうじゃなかった。

 暗闇の中に消えたいったジンヒョンの車の上に、あの日の夜僕に向かって来たヘッドライトの明かりが重なった。体がブンと浮き上がった感覚、唾を飲み込むことも、息をすることも出来なかった瞬間、突然全身が発作的に激しく揺れた時の恐怖。意識が遠のいて感じた耐えられない寒気。死の影。その瞬間見えたバンパーの事故の跡。

 コンテナの中に立ち入った。「ジョングガ退院おめでとう」ジミニヒョンの文字を見上げながら椅子に座った。ふいに事故の時痛めた脚がうずいた。ヒョンたちはなかなか入ってくる気がしなかった。何か僕の知らない話をしていた。

 

2021年5月2日

 夕焼けが濃くなる川べりの日向に沿った。桃色と紫色が入り混じった空に向かって、自転車のペダルを踏んでみれば、重いけど、イルサンから脱出している気分になった。今日も母さんが夕飯の準備をしている音が聞こえるやいなや、自転車を引いて出てきた。誰とも出くわしたくなかった。僕に笑いかけてくれる人は一人もいない場所、そこが僕の家だった。一緒に住んだからって家族だっていうわけじゃなかったんだ。家の外へ出て行っても、変化したことはなかった。ヒョンたちは一人ずつ去って、同じ町にいてもお互いに連絡しなくなってからかなり時間が経った。もう家の中にも家の外にも僕に笑いかけてくれる人はいなかった。

 日が沈んでまだ月が上る前に、河岸には暗闇が降りた。自転車に乗って走るにつれて、川辺の風景も変わっていった。公園でも整備された道が終わると、廃車や廃オートバイ、タイヤみたいなごみで溢れた冷えた場所が出てきた。僕は橋の下の柱に自転車を停めておいて、河岸へ降りていった。川の向こう側では火を起こしてお酒を飲んで、角材を振り回してる子どもたちの連中がいたけど、こっち側には誰もいなかった。こんな滅茶苦茶なところには人は来なかった。僕の元に誰も訪ねて来ないのもそんな理由からなのかな。誰もやって来ないこんな空間で、完璧な暗闇の中に一人でいるこの時間が、僕は楽だった。この時間が永遠に終わらなければいいのに、そう思った。

 

 

誤訳の可能性大です^_^;

 

 

BTS 花様年華 The Notes Y『Love Yourself 轉 'Tear'』より 日本語訳

 

ソクジン

2022年9月30日

 誰ならば、愛が始まった瞬間を覚えていられるのだろう。誰ならば、愛が終わる瞬間を予測できるのだろう。人間にその瞬間たちを認知できる能力が与えられなかったことは、何の意味があってのことなんだろうか。そして僕にそのすべてを巻き戻す能力が与えられたのは、何のためなのだろうか。

 自動車が急停止して、ヘッドライトがきらめいて、ぶつかり、跳ね上がって、落ちた。その騒々しい全ての瞬間を前にして、僕は無防備に立ち尽くしているだけだった。何の音も聞こえず、どんな感覚も感じなかった。夏なのに風が冷たい気がした。道路に沿って何かが転がり落ちている音がした。それから花の香りがした。その時になってやっと、若干の現実感が出てきた。スメラルドの花束が僕の手にこつんと降り落ちた。彼女がそこの道路の真ん中にいた。彼女の髪の毛の隙間に血が滲み出た。赤黒い血が道路に沿って流れた。僕は考えた。時間を巻き戻すことができたなら。

 

2020年7月17日

 学校の玄関を出るとセミの鳴き声がひどかった。運動場は笑って遊んで、競い合ってかけっこをしている子供たちでごった返していた。夏休みの始まり、みんなあるがままに浮足立っていた。その子たちの間を頭を下げながら足を進めた。早く学校を抜け出したかった。

 「ヒョン。」誰かの影がぴょんと飛び出たために、驚いて顔を上げた。ホソクとジミンだった。いつものように大きく屈託のない笑顔を帯びた、茶目っ気ある幼い目で僕を見つめた。「今日から休みなのに、そのまま帰るんですか?」ホソクが腕を引っ張りながら言った。僕は、おお、と意味のないつぶやきをしてからは、ただそっぽを向いた。あの日起きたことは、明らかに事故だった。意図したものじゃなかった。その時刻倉庫の教室にジョングクとユンギがいるとは思いもしなかった。校長は僕が弟たちをかばってやっていると疑った。僕が優等生ではないと父親に言えるとも言った。なんでもいいから話さなければいけなかった。アジトの話をしたのは、誰もいないと思ったからだった。それなのにユンギが退学に追いやられることにまでなってしまった。僕があの日、巻き添えにしたことを知っている人はいなかった。

 「いい休みを過ごしてください、ヒョン!連絡します。」僕が無視したことをどう解釈したのか、ホソクはそっと手を放してことさら明るく挨拶をした。今回も僕は何も答えることができなかった。言えることがなかった。校門を出ると、初めて投稿した日が思い浮かんだ。遅刻してみんな一緒に罰を受けた。だから笑うことができた。その時間たちを僕が壊した。

 

 

ユンギ

2022年6月15日

 頭の中をドンドンと鳴らす音楽の他には何も認知しなかった。どれくらい酒を飲んだのか、ここがどこなのか、何をしていたのか。知りたくも、重要でもなかった。ふらつきながら外へ出ると夜だった。ただ流されて歩いた。通行人か、屋台か、壁か、無造作にぶつかった。どうでもよかった。ただ全部忘れたかった。

 ジミンの声が今でも耳に残ってる。「ヒョン。ジョングクが、」次の記憶では狂ったように病院の階段を上がっている。病院の廊下はおかしな程長く暗かった。患者服を着ている人たちが通って行った。心臓がドキドキと鳴った。人々の顔が皆あまりにも青白かった。表情も無かった。みんな死人みたいだった。頭の中で自分の呼吸の音が荒く揺れた。

 少し開いた病室の扉の向こうにジョングクが横たわっていた。知らないうちに顔をサッと背けた。目を当てることができなかった。その瞬間急に、ピアノの音が、燃え上がる炎が、建物が崩れ落ちる音が聞こえてきた。頭を抱えてしゃがみこんだ。お前のせいだと言った。お前さえいなければと言った。母親の声、いや、自分の声、違う、誰かの声。その声に数えきれない時間苦しんだ。そんなことないと信じたかった。それでもジョングクがあそこに横たわっていた。死人のような顔をした患者たちが行き来する廊下にジョングクが横たわっていた。到底入ることができなかった。確認できなかった。立ち上がると足がふらついた。出て行くのに涙が出た。笑えた。最後に泣いたのがいつなのかも覚えてなかった。

 横断歩道を渡ろうとしたのに、誰かに足を踏まれたせいでパッと振り向いた。誰だ?いや、どうでもよかった。誰であっても同じだった。そばに来るな。行け。頼むからただ放っておいてくれ。俺も傷つけたくない。傷つきたくもない。だからどうか、近寄ってくるな。

 

2019年6月12日

 無計画に学校をサボって出てきたけど、実は行くあてはなかった。陽は暑くて、金は無い、やることも無かった。海へ行こうと言ったのはナムジュンだった。弟のやつらは浮かれているみたいだったが、俺はそれほど乗り気でも、嫌でもなかった。「金はあるのか?」俺の言葉にナムジュンがみんなのポケットをはたかせた。硬貨何枚、紙幣何枚。行けないんだけど。歩いていけばいいじゃんと言ったのは多分テヒョンだった気がする。ナムジュン頼むからちょっとは考えろよという顔をしてみてから、みんな無駄話をして笑いあった、路面に転げまわるふりをして、そんなことをしながら道を歩いた。俺は返事をする気になれなくてただ後ろをついて行った。陽が暑かった。真昼だから街路樹でさえ日陰を作ることができず、歩道の無い道路の上を自動車たちが土ぼこりを飛ばしながら通りすぎて行った。

 「あっちに行こう。」今回もテヒョンが言った。ホソクだったか。どうでもよくてよく見はしなかったけど、二人のうちの一人だった。首を下げて地面を蹴りながら歩いていた俺は、誰かとぶつかって倒れそうになり顔を上げた。ジミンがその場に釘付けにされたように立っていた。何か恐ろしいものを見たような顔で筋肉がブルブルと震えていた。「大丈夫か?」聞いたけど聞こえてないみたいだった。ジミンが見つめている場所には、草花樹木園 2.2kmという表示板がたっていた。

 「歩くのは嫌です。」ジョングクが言った声が聞こえた。ジミンの顔に汗がぽつりぽつりと落ちた。今すぐにでも座り込みそうな顔が呆れた。なんだ?変な気分になった。「パクジミン。」呼んだがやはり微動だにしなかった。顔を上げてもう一度表示板を見つめた。

 「おい、日も暑いのに何の樹木園だよ。海でも行こう。」俺は気乗りしないような口調で言った。草花樹木園がどんなところかは知らないが、行ってはいけない気がした。理由はわからないが、ジミンの目つきがおかしかった。「金が足りないからですよ。」俺の言葉にホソクが答えた。「歩いて行くから。」テヒョンが口添えした。「電車の駅まででも歩いて行けば、それなりになりそうだけど。」ナムジュンが言った。「代わりに夕飯は抜きだな。」ジョングクとテヒョンが泣き声を出して、ジンヒョンが笑った。ジミンが再び動き出したのはみんなが駅へ向かう道へ差し掛かった後だった。俺はまた表示板を見上げた。草花樹木園、五つの文字が徐々に遠ざかって行った。

 

 

ナムジュン

2022年7月13日

 バス停に頭をもたれた。図書館からガソリンスタンドまで。毎日行き来している距離、飽き飽きする程に見慣れた景色が窓の外で過ぎていった。果たしてこの風景から解放される日が来るんだろうか。明日を計画したり、何かを願うことも不可能な気がした。

 そこら辺の前に、黄色いゴム紐で髪を結んだ女性が座っているのが見えた。ため息をついたのか、肩が大きく持ち上がって下がった。それから窓へ頭をもたれた。もう一か月間同じ図書館で勉強をして、同じ停留所でバスに乗った。一言も交わさなかったけど、同じ景色を見て、同じ時間を生きて、同じため息をついた。ズボンのポケットには髪ゴムがまだ入っていた。

 女性は僕より3つ前の停留所で降りた。女性が降りていくのを見るたびに、またチラシを配りに行くんだろうかと考えた。どんな時間を経験しているんだう、どんなことを耐えているんだろう。明日が来ないような、明日同じことは最初からなかったかのような漠然としたものをどれほど沢山感じるんだろう。そんな風に考えた。

 女性が降りなくちゃいけない停留場に近づき始めた。誰かが停車ボタンを押すと、すぐに乗客たちが席から立ちあがった。だけどその真ん中に彼女は加わっていなかった。ただ首を車窓へもたれたままその席に座っていた。眠っているようだった。行って起こそうか。僕は瞬間的に葛藤した。バスが停留場に到着した。女性は相変わらずそのままだった。人々が降りた。ドアが閉まってバスが発車した。

 女性は停留所三つ分の間起きなかった。僕はバスの出口へ近づきながら再び葛藤した。僕が下車すれば、誰も彼女のことを気に留めないのは明らかだった。女性は降りるべきところで寝過ごして、遠いところに着いてから目覚めるだろうし、それによって一日がどれだけさらに疲れる日になるかもわからなかった。

 バス停を離れてガソリンスタンドに向かって歩き始めた。バスはすぐに発車して、僕は振り返らなかった。女性のカバンの上に髪ゴムをのせておいたけど、それだけのことだ。それは始まりではないし、だからといって終わりでもなかった。初めからなんでもなかったし、何かがある理由もなかった。だから本当に何でもないんだと、僕は考えた。

 

2021年12月17日

 始発のバスを待っている人たちが手を揉んだ。僕はカバンの紐をぎゅっと握りしめて地べたを見下ろした。誰が来ても目を合わせないように努力した。一日にバスが二台停車する田舎町。遠くに始発が来ているのが見えた。

 人々が後についてバスへ乗り込んだ。後ろは振り向かなかった。なんだか切ないものがある時、それをかろうじて手に入れた時、もう脱出することだけが残った時こんな条件がついてくるものだ。後ろを振り返る瞬間、今までの努力は水の泡になる。後ろを振り向くこと。それは疑念でもあり、未練でもあり、恐怖でもある。それを忘れてようやく脱出することになる。それよりはあてもなく逃げているのに近かった。母さんの疲れた顔。ほっつき歩いている弟。父さんの病気。日増しに大変になっていく家庭内の事情から。犠牲と平穏を強要する家族たちから、何も知らないふりをして諦め、適応しようと必死に耐え忍ぶ自分から。そして何よりも貧困から。

 貧しいことが罪なのかと聞かれたら、誰でも違うというだろう。だけど本当にそうなんだろうか。貧しさは沢山のことを蝕んでいく。大切だったものたちが、なんでもなくなっていく。諦められないことも、諦めることになる。疑い、恐れ、諦めることになる。

 あと何時間後になれば、バスは見慣れた停留所に着くんだろう。一年前あそこから去って、僕は何の挨拶も残さなかった。それから今なんの知らせも無くあの場所へ帰っている。仲間たちの顔を思い浮かべた。全員と連絡が途切れていた。みんな何をして過ごしているんだろう。窓いっぱいの霜のせいで、屋外の風景は見えなかった。そのうえだんだん指が動いた。

 「生き残らなければいけない。」

 

 

ホソク

2022年7月4日

  応急処置をしている間、廊下に出ていた。夜中だというのに病院の廊下にはかなり多くの人がうろうろしていた。血と汗でびっしょりと濡れた髪の毛から、水気がポトポトと落ちた。頭を打ってから、その子のカバンを落とした。雑多なものがどっと出てきた。コインがころころと転がっていってボールペンやタオルも散らばった。その真ん中に飛行機のeチケットがあった。拾い上げながら目を通した。

 その時医者が僕を呼んだ。軽い脳震盪だからそんなに心配しなくても大丈夫だと言って、少しした後にその子が出てきた。「大丈夫?」その子は頭がちょっと痛いと言いながら、僕からカバンを受け取ろうとした。するとチケットがにゅっと飛び出ているのを見て僕の顔を見つめた。僕はカバンを他方の肩にかけ替えながら、何事もなかったかのように早く行こうと促した。玄関から出ると相変わらず雨が降っていた。扉の前に並んで立った。

 「ホソガ。」その子が呼んだ。言いたいことがある感じだった。「少し待ってて。傘買ってくる。」僕はやみくもに雨の中を駆け抜けた。向こうにコンビニがあった。少し前に、その子が海外ダンスオーディションに応募したのは知っていた。飛行機のチケットを買っているということは、あの子が合格したということだ。あの子の言葉を聞きたくなかった。おめでとうと言える自信がなかった。

 

2010年7月23日

 幻聴のような笑い声が聞こえたのは、数字を四まで数えた時だった。次の瞬間、幼い頃の自分が誰かの手を握ったまますれ違って行った。すぐに振り返ってみたけど、そこには僕を見上げているクラスメイトたちがいるだけだった。「ホソガ。」先生が僕の名前を呼んだ。その時になってやっと自分のいるところがどこか気づいた。数学の時間だった。教科書に書かれた果物を数えている最中だった。五個、六個。もう一度数を数えたけど、一つずつ増えるごとに声が震えて、手に汗が滲んだ。その時の記憶がしきりに思い浮かんだ。

 あの日見た母の顔はよく覚えていない。公園を見物していた僕に、チョコバーを渡してくれたことだけは思い浮かぶ。「ホソガ。今から十まで数えたら、目を開けるんだよ。」数を全部数えた後、目を開けた時母はいなかった。九まで数えたのが最後だった。あと一つだけ数えなくちゃいけないのに、声が出なかった。待って、また待っても、戻ってこなかった。耳鳴りがして、辺りがかすんでぼやけてきた。先生が早く続けろと手で煽った。友人たちが僕を見つめた。母の顔がちゃんと思い出せなかった。本当にあと一つ数えれば、母が絶対に僕を探しに来てくれないような気がした。

 僕はそのまま床に倒れてしまった。

 

 

ジミン

2022年7月4日

 正気を取り戻した時、僕は肌が剥けるくらい腕を洗い流していた。手がガタガタと震えて息が上がってきた。腕に沿って血が流れた。鏡の中の目は血走っていた。少し前の出来事が断片的に浮かび上がってきた。

 瞬間的に集中力が散った。ダンスサークルのヌナと和を合わせて踊っていたけど、導線がもつれてぶつかった。粗い床に転がって腕から血が出た。その瞬間、草花樹木園であった出来事が浮かび上がった。克服したと思っていたことだった。でもそうじゃなかった。逃げなきゃ。洗い流さなくちゃ。鏡の中の自分は相変わらず雨の中を転がるように逃げる八才の小さな子だった。だけどふと思い出した。ヌナも一緒に倒れたのに。

 練習室には誰もいなかった。少し開いた扉の向こうで雨が激しく降っていた。遠くにホソギヒョンが走っているのが見えた。その雨を全部受け止めていた。傘を握り、飛び出した。走った。結局、立ち止まった。

 僕に出来ることは無かった。僕なんかに出来ることなんて、倒れて怪我をして、それでいて自分が怪我したことにびくびく震えながら投げ出すか、遅れて走っていて、立ち止まること、それが全てだった。後ろを向いて歩いた。足を踏み出す度に、雨水が運動靴に撥ねた。車のヘッドライトがビュウッと過ぎて行った。大丈夫ではなかった。いや、大丈夫だった。痛くは無かった。このくらいなら傷でもない。僕は本当に大丈夫だった。

 

2022年5月19日

 結局草花樹木園に行くことになった。そこで起きた出来事を覚えていないという嘘は、もうやめにしようと思った。病院に隠れることも、発作を起こすことも、もう終わりにしようとした。そのためにその場所へ行ったんだ。そんな心持で僕は先日このバス停を見つけた。だけど草花樹木園のシャトルバスには乗れなかった。

 ユンギヒョンが横に来てどかっと座ったのは、今日だけで三台見送ったあとだった。何してるのという質問にヒョンは、することもないし退屈だからそうしてるんだと言った。それからどうして僕はここに座っているのかと聞いた。僕は頭を下げたまま、靴の裏で地べたをトントンと蹴った。自分がどうしてここに座っているのか考えた。勇気がないからだった。平気なふり、わかっているふり、その程度のことは軽く飛び越えられるふりをしたかったけど、実は怖かった。何に突き当たるのか、それに耐えることができるのか、また発作を起こさないか、すべてが怖かった。

 ユンギヒョンはゆったりとして見えた。この世に緊急のことなんて無いみたいに、伸びをしながら天気が良いな、なんてくだらないことを言った。その言葉を聞いてようやく本当に天気が良いことに気が付いた。緊張しすぎたあげく、周囲を見渡す余裕がなかった。空がすごく青かった。たまに暖かい風も吹いた。遠くに草花樹木園のシャトルバスが来ていた。バスが停車して扉が開いた。運転手のおじさんが僕を見つめた。衝動的に聞いた。

 「ヒョン、一緒に行ってくれますか?」

 

 

テヒョン

2022年7月17日

 わき腹が引き裂かれるように痛んだ。汗がぽとぽとと落ちた。レールの片隅、コンビニの裏の空き地、高架線の下、どこにもあの子はいなかった。バス停まで走ってきたけど、やっぱり見えなかった。バスを待っている人たちが僕を変に見つめた。どうなってるんだ?会うために約束をしたわけではなかったけど、おかしかった。あの子はいつもどこかからふいっと現れて、そろそろと後についてきた。面倒だと言っても無駄だった。それなのに、一緒に立ち寄った場所のどこにもあの子はいなかった。

 見慣れた壁にたどり着いて歩みを止めた。一緒に描いたグラフィティーだった。あの子が最初に描こうと言った。その上に巨大なX表示が描かれてあった。あの子だった。見たわけでもないのにわかっていた。どうして?返事は無かった。代わりに壁の上でいくつもの残像が重なった。

 レールに横たわって、頭を打って痛がる僕を見ていた笑った姿。逃げだすのを助けようと、倒れた僕を起き上がらせた姿。パンを奪って食べる僕にカッとして怒った顔。家族写真が掛かった写真館の前を通る時に曇った表情。すれ違う学生たちを見る時に、気づかないうちに追っていた視線。この壁に一緒にスプレーを撒きながら僕は言った。「大変なことがあったら、一人でくよくよしてないで言いな。」Xの表示はその全部の記憶の上に太くあった。その全てのことが偽物だと言っているような気がした。嘘だと言っているみたいだった。知らないうちに拳に力を入れていた。どうして?返事はやっぱりなかった。振り返って歩いた。また一人ぼっちだった。僕も、あの子も。

 

2020年3月20日

 廊下をパタパタと音を立てながら走るとざっと滑った。そして立ち止まった。あそこの「僕たちの教室」の前にナムジュニヒョンが立っているのが見えた。僕たちの教室。誰も知らないけど、僕はそこを僕たちの教室だと呼んでいた。僕とヒョンたちとジョングク、僕たち七人の教室。息を潜めて近寄った。驚かせようと思ったんだ。

 「校長先生!」踏み出して五歩目くらいで少し開いた教室の窓の向こうで緊迫した声が聞こえた。ソクジニヒョンみたいだった。歩みを止めた。今ソクジニヒョンが校長と話してるのか?僕たちの教室で?どうして?それからユンギヒョンと僕の名前が聞こえて、ナムジュニヒョンが驚いたように息を吸い込んだのが見えた。その気配に気づいたのか、ソクジニヒョンが扉をガラッと開けた。ソクジニヒョンの手には携帯が握られていた。顔には驚いて困惑した気配がまざまざとあった。ナムジュニヒョンの表情は見えなかった。僕は隠れてその姿を見守った。ソクジニヒョンが何か弁明したそうに口を開いたけど、ナムジュニヒョンが手をあげて言った。「大丈夫。」ソクジニヒョンがどういう意味だというような表情になった。「ヒョンがそうしたのには理由があるんでしょ。」「その言葉を最後に、ナムジュニヒョンがソクジニヒョンを通り越して教室に入った。」信じることができなかった。ソクジニヒョンが校長にユンギヒョンと僕が過ごしたこの数日間何をしていたのか話した。授業を抜け出して、塀を乗り越えて、あいつらと喧嘩した話を全部言った。それなのにナムジュニヒョンがそれを大丈夫だと言った。

 「ここで何してるんだよ。」びっくりして振り向くとホソギヒョンとジミンだった。ホソギヒョンが自分がもっとびっくりしたふりをして、僕の腕に手を回した。ホソギヒョンに引かれてついうかうかと教室に近づいた。ナムジュニヒョンとソクジニヒョンが言葉を交わせていて、振り向いた。ソクジニヒョンがそそくさと立ち上がって急用ができたからと出て行ってしまった。ナムジュニヒョンの顔色を窺った。ソクジニヒョンの後姿を見ていたヒョンは、何もなかったみたいにみんなを見て笑った。その瞬間ある考えが浮かんだ。ナムジュニヒョンがああなのにも、絶対理由があるはずだ。ナムジュニヒョンは僕よりずっと物知りで、ずっと賢くて、ずっと大人だから。それからここは僕たちの教室だから。僕は、みんなが四角いと言ってからかうバカみたいな笑顔で教室に入った。

 

 

ジョングク

2022年7月26日

 病院の花壇でこっそり花を折った。しきりに笑みが出てしまって下を向いた。真夏の日差しが眩しく砕けた。病室のドアを叩いたけど返事がなかった。もう一度叩いて、少し扉を開けた。病室の中はなぜかひやりとした。そして誰もいなかった。とても静かな暗闇だけが広がっていた。

 病室を後にした。うんざりしてもどかしい気持ちで、車いすをぐるぐると力いっぱい押しながらこの廊下を突っ切っていたら、あの子に出会った。いきなり現れるせいでなんとか立ち止まったけど、髪の毛を一つに結んだ女の子が立っていた。病院を出て少ししたところにベンチが見えた。一緒に音楽を聴いて絵を描いたいつかの記憶が浮かんだ。それからあの屋上でイチゴミルクを分けて飲んだりもした。手には相変わらず野花が握っていたけど、もうあげる人はいなかった。

 

2020年9月30日

 「チョン・ジョングク。お前最近もあそこに行ってるんじゃないよな?」僕は何も答えなかった。運動靴のつま先だけを見ながら立っていた。返事をしないのかと出席簿で頭を叩かれた。それでも口を開かなかった。ヒョンたちと一緒に過ごした教室だったんだ。ヒョンたちについて行って教室を発見したその日以降、行かない日は一日たりとも無かった。多分ヒョンたちも知らないだろう。ヒョンたちは約束があるから、アルバイトが忙しいからと現れない日もあった。ユンギヒョンとジンヒョンは何日も姿を見せなかったりもした。だけど僕は違った。忙しい日なんて無くて、毎日訪れた。一日中誰も来ない日もあった。それでも平気だった。そこにいるというだけで、今日じゃなければ明日、明日じゃなければ明後日になれば、ヒョンたちが来るから大丈夫だった。

 「反抗するうえに悪いことだけ覚えたな。」再びもう一発叩かれた。視線を上げて睨みつけた。また叩かれた。ユンギヒョンが殴られた姿を思い出した。歯を食いしばって耐えた。あの教室に行っていないなんていう嘘はつきたくなった。

 今僕はまたその教室の前に立っていた。扉を開ければヒョンたちがいる気がした。一か所に集まってゲームをやってから、振り返ってなんでこんなに遅いんだよと言うような気がした。ジンヒョンとナムジュニヒョンは本を読んで、テヒョンイヒョンはゲームをして、ユンギヒョンはピアノを弾いて、ホソギヒョンとジミニヒョンはダンスを踊っている気がした。

 だけど扉を開けて見えたのはホソギヒョンだけだった。ヒョンは教室に残っていた僕たちの物を整理していた。僕が取っ手を掴んだままただ立ち尽くした。ヒョンが近づいてきて、肩に腕を回した。それから僕を引いて外に出た。「もう行こう。」背の後ろで教室の扉が閉まった。僕は悟った。あの日々は過ぎ去って、もうここには来ないであろうことを。

 

 

 

ジョングクぅ~~泣
みんな切なくて苦しくて悲しい状況だけど、ことジョングクに関しては心臓が絞られてるみたいに辛くなる…

TXT 『거울 속의 미로』(鏡の中の迷路/Maze in the Mirror)Tomorrow X Together 歌詞 和訳

 

youtu.be

 

作詞:Slow Rabbit,연준,범규,ADORA,휴닝카이,수빈,태현
作曲:Slow Rabbit,연준,범규,ADORA,휴닝카이,수빈,태현

 

끝은 어딜까 달려 보지만

終わりはどこだろう 走ってみるけど


In the mirror 속의 미로

鏡の中の迷路

 

보호란 통제가 날 가두고

保護という統制が僕を閉じ込めて

 

아파도 더는 투정 부리면 안 돼

辛くてもこれ以上は駄々をこねちゃいけない

 

나를 꼭 감춰둔 세상, 세상

僕をぎゅっと押し込めていた世界、世界

 

Please don’t give up on me

どうか僕を見捨てないで

 

We’ll be going up 넘어지지 마

きっと抜け出せる 倒れるな


In the mirror 속 네 위로

鏡の中の君の後ろで


커다란 틀에 날 맞추기엔

巨大な枠に僕を組み込んでは


여전히 작고 작은 것만 같은데

相変わらずちっぽけなことみたいで


나를 좀 찾아줘 제발, 제발

僕を探してくれないか どうか、どうか

 

거울 앞에서 난 또 굴복해

鏡の前で僕はまた屈するんだ


여긴 너무 컴컴해

ここはあまりにも真っ暗で


여리기만 한 내 어깬

脆いだけの僕の肩は


숨지도 펴지도 못해

隠れることも広げることも出来ない

 

미로 속 끝에 미로 속 끝에

迷路の終わりで 迷路の終わりで

 

거울 저 편에 저기 저 편에

鏡の向こうへ あの向こう側へ


나를 찾아줘 제발, 제발

僕を見つけ出して どうか、どうか


Please don’t give up on me

どうか僕を見捨てないで

 

No oh oh oh oh oh oh No oh oh oh oh oh oh

 

여리기만 한 내 어깬

脆いだけの僕の肩は


기대어 쉴 수가 있게

寄りかかって休めるように


쉴 수 있게

休めるように

 

No oh oh oh oh oh oh No oh oh oh oh oh oh


나를 찾아줘 제발, 제발

僕を見つけ出してくれ どうか、お願いだ

 

빛을 따라 난 손을 뻗지만

光を追って僕は手を伸ばしたけど


In the mirror 속 날 밀어

鏡の中 僕を押す


깨지고 나뉜 그 형체 속에

砕けて割れたその形の中に


나조차 진짜 날 찾을 수 없게 해

自分すらも本当の自分を見つけられなくなる


나를 좀 찾아줘 제발, 제발

僕を探してくれないか どうか、どうか

 

거울 앞에서 난 또 굴복해

鏡の前で僕はまた屈するんだ


여긴 너무 컴컴해

ここはあまりにも真っ暗で


여리기만 한 내 어깬

脆いだけの僕の肩は


숨지도 펴지도 못해

隠れることも広げることも出来ない

 

미로 속 끝에 미로 속 끝에

迷路の終わりで 迷路の終わりで

 

거울 저 편에 저기 저 편에

鏡の向こうで あの向こう側で

 

나를 찾아줘 제발, 제발

僕を見つけ出してよ どうか、どうか

 

이젠 날고 싶어

もう飛びたいんだ

 

영원을 나는 피터팬처럼 (fly fly fly)

永遠を 僕はピーターパンみたいに


별이 되고 싶어

星になりたいんだ


처음 흘렸던 그 맑은 땀처럼

初めて流したあの澄んだ汗のような

 

 

거울 앞에서 난 또 굴복해

鏡の前で僕はまた屈するんだ


여긴 너무 컴컴해

ここはあまりにも真っ暗で


여리기만 한 내 어깬

脆いだけの僕の肩は


숨지도 펴지도 못해

隠れることも広げることも出来ない

 

미로 속 끝에 미로 속 끝에

迷路の終わりで 迷路の終わりで

 

거울 저 편에 저기 저 편에

鏡の向こうへ あの向こう側へ


나를 찾아줘 제발, 제발

僕を見つけ出して どうか、どうか


Please don’t give up on me

どうか僕を見捨てないで

 

No oh oh oh oh oh oh No oh oh oh oh oh oh

 

여리기만 한 내 어깬

脆いだけの僕の肩は


기대어 쉴 수가 있게

寄りかかって休めるように


쉴 수 있게

休めるように

 

No oh oh oh oh oh oh No oh oh oh oh oh oh


나를 찾아줘 제발, 제발

僕を見つけ出してくれ どうか、お願いだ

 

 

(盗用禁止)

 

Slow Rabbit さんとADORA ちゃんのタッグー♡

クレジット見るとメンバーも積極的に制作に関わったみたいですね!

 

 

TXT 『Drama』 Tomorrow X Together 歌詞 和訳

 

youtu.be

 

作詞:Supreme Boi,Jake Torrey,Noah Conrad,Roland "Rollo" Spreckley,EL CAPITXN
作曲:Supreme Boi,Jake Torrey,Noah Conrad,Roland "Rollo" Spreckley,EL CAPITXN

 

저 환호성 난 매일 그 뒤

あの歓声 僕は毎日その後ろ


쿨한 미소는 너의 주무기

クールな笑みは君の売り


처음 만났던 운동장의 court

初めて出会った運動場のコート


나도 주인공만 같던 movie scene

僕も主人公みたいだった映画のシーン

 

네 패스 하나에 바로 나도 그 scene 안에

君のパス一つですぐに僕もそのシーンの中へ


Spotlight 불빛 아래 내 자리

スポットライトの明かりの下が僕の場所


날 향해 던져준 너의 다정한 그 말에

僕に向かって投げてくれた君のその優しい言葉に


나도 한순간에 주연이

僕も一瞬で主演に

 

Oh oh 내디뎌 한발

Oh oh 踏み出して一歩を


Oh oh give me a highlight

Oh oh 目立たせてくれ


Oh oh 꿈꿔온 drama

Oh oh 夢見てきたドラマ


Time to show my play

僕の見せ場がきた

 

이건 내 drama

これは僕のドラマ


꿈꿔본 drama

夢見てたドラマ


이건 내 drama

これは僕のドラマ

 

저 환호성 난 nobody

あの歓声 僕は何者でもない


스티커 사진 속 넌 주인님

ステッカー写真の君はご主人様


아이구 죄송, 넘은 내 선

おっと失礼、越えた僕の線


엑스트라1 은 오늘도 통편집

エキストラ1は今日もカットされる

 

함께 하고 있지만 마음이 이상해

いっしょにやっていたのに心が変だ


자꾸 CG같애 내 몸이

自分の体がずっとCGのよう


어느새 다가온 퇴장이란 그 문 앞엔

いつの間にか近づいていた退場というそのドアの前には


작고 시시한 내 결말이

小さくてつまらない僕の結末が

 

Oh oh 잘 가 내 망상

Oh oh じゃあね僕の妄想


Oh oh 다가온 bye-bye

Oh oh 近づいたバイバイ


Oh oh 널 위한 drama

Oh oh 君のためのドラマ


Time to get away

もう引く時間だ

 

이건 네 drama

これは君のドラマ

 

이건 네 drama

これは君のドラマ

 

이건 네 drama

これは君のドラマ

 

 

Oh my god

オーマイガー


네 눈부신 drama

君が眩しいドラマ


내 내가 무슨 상관

僕には関係ない


내 내가 무슨 상관

僕とは関係ない

 

Oh my god

オーマイガー


마법 같은 drama

魔法みたいなドラマ

 

내 내가 무슨 상관

僕には関係ない

 

내 내가 무슨 상관

僕とは関係ない

 

Oh oh 무대 위 drama는

Oh oh 舞台上のドラマは


Oh oh 여전히 찬란

相変わらずきらびやか


Oh oh we have no problem

Oh oh 問題はない


Nothing but my name

なんてことない僕の名前

 

Oh oh 잘 가 내 망상

Oh oh じゃあね僕の妄想


Oh oh 다가온 bye-bye

Oh oh 近づいたバイバイ


Oh oh 널 위한 drama

Oh oh 君のためのドラマ


Time to get away

もう引く時間だ

 

이건 네 drama

これは君のドラマ

 

이건 네 drama

これは君のドラマ

 

이건 네 drama

これは君のドラマ

 

 

(盗用禁止)

 

ザ・アイドル!みたいな曲(主観)はやっぱり聴きやすいですね~。今回のアルバムの中ではDramaが一番好きな曲調かも。振りも若手っぽくて可愛い!最高!